平成23年度修了証書・卒業証書授与式告辞

平成23年度修了証書・卒業証書授与式告辞

 各地に大雪をもたらした今年の冬も、ようやく春への移り変わりを感じられるようになりました。本日、専攻科を修了した41名に修了証書を、準学士課程を卒業した189名に卒業証書を授与しました。卒業生の中には、6名の外国人留学生も含まれています。また、専攻科修了生全員に学士(工学)の学位も授与されました。修了生及び卒業生の皆さん、誠におめでとうございます。本校の教職員一同とともに、心からお祝い申し上げます。また、ご列席のご家族や関係の方々に衷心よりお慶び申し上げますとともに、日頃からの本校へのご支援に厚く御礼申し上げます。さらに、ご多忙の中ご臨席賜りましたご来賓の小田島元校長先生、河上前校長先生、元教授の方々、同窓会、後援会の役員の各位にも、ご指導、ご支援に深く感謝申し上げます。

 木更津高専の創設以来の卒業生は、これまで5900人余りとなっており、社会の第一線で幅広く活躍するに至っていますが、諸君はこれに続く第41期の卒業生となります。また、専攻科は第10期の修了生となります。

 諸君が在学した期間中には、本校では、実験実習センターが改修されるなど教育環境の整備が進み、海外の学校との協定により学生を派遣するなど国際交流も進展しました。一方、新型インフルエンザの流行により学校活動が大きな影響を受けたこともありました。そして昨年3月11日に発生した東日本大震災と原子力発電所の事故により、被災地のほか広い地域で様々な困難がある中、本校でも、夏季の節電対応や省エネ・防災対策の強化を行いました。

 今後の日本及び世界を展望しても、不透明な点が多くあります。高齢化や人口減少、グローバル化の波などの問題に、日本社会は直面しています。便利さや豊かさを追求してきた情報通信技術をはじめとする科学や技術も、曲がり角に来ています。このため、私たちが教育研究を担う工学の分野においては、今後、持続可能な地球環境や、災害に強い社会システム、安全・安心に生活できる福祉・医療・地域社会の構築などに資することが課題になると思われます。

 こうした中で、修了生・卒業生諸君は、学校から巣立ち、産業社会を担う職業人として、又はより高度の学業を究める学生として歩み出そうとうとしています。諸君を待ち受ける課題は大きく困難を極めると思いますが、それぞれの場で、存分に活躍することを期待します。その際、高等専門学校出身者としての自信と誇りを持ち続けることを、強くお願いしたい。 木更津高専では、「人間形成」「専門の科学技術の修得」「心身の鍛練」の教育方針の下、諸君に一般教育と専門科目の勉学はもちろん、様々な学校行事や課外活動に一生懸命取り組んでもらいました。また学友の仲間とも友好を深めたことでしょう。そうした高専での生活が諸君を大きく成長させ、また高度専門技術者に求められる知識や能力を、確かなものとして身に付けたことと思います。このことが、諸君の自信と誇りに繋がることを信じます。

 諸君が身に付けた優れた知識や技能も、確かな人間力がなければ正しく発揮することはできません。人間力とは、大人の人間が持つべき能力であり、自主的に決断する判断力、工夫し新しいものを作り出す創造力、決めたことを行う実行力などです。これが、本校の教育方針「人間形成」の意味であり、諸君はこの人間力の基礎基本を身に付けた訳ですから、これからの人生において、それにさらに磨きをかけていただきたい。

 諸君のこれからの人生は、平坦な道ばかりでなく険しい山や谷もあるでしょうが、どんな時も、苦労を厭わないこと、失敗にめげないこと、果敢に挑戦すること、そして夢と希望を持ち続けることが大事だと、申し上げておきたい。そして、職業生活において自己実現するとともに、幸福な家庭を築き次世代へと繋げていくなど、実りある人生を歩まれるよう、望みます。

 今から80年ほど前の人物ですが、東北地方・岩手県の地を深く愛した宮沢賢治は、自らの心象に現れた正しいもの、美しいものを作品に著したと言われています。童話「銀河鉄道の夜」で、少年ジョバンニは夢の中で銀河鉄道の旅をします。手には緑色の紙を四つに折った切符を持っており、それは天上までもどこまでも行ける通行券です。旅の最後でジョバンニは、目に涙が溢れそうになる悲しみを乗り越え、自分や母親のため、また、いなくなってしまった親友カムパネルラや皆のために、本当の幸いをどこまでも探しに行こうと決意します。すぐ前の席に座っていた乗客が、ジョバンニに、切符をしっかり持って、もう夢の中の鉄道ではなく現実の世界の火や波の中をしっかり歩いていくよう激励します。そこでジョバンニは夢から目が覚めるのでした。

 これが宮沢賢治の童話の一場面ですが、私からも、諸君に、木更津高専で身につけた知識や力量を切符とし、社会の山や谷や荒波をしっかりと目標に向かって歩いていくよう、激励したいと思います。

 諸君の門出を心から祝福するとともに、諸君の前途が洋々と展開し、それが我が国や世界の明るい未来にも繋がることを祈念し、お祝いの言葉とします。

2012年(平成24年)3月19日
木更津工業高等専門学校長
工藤 敏夫

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