平成24年度入学式告辞

平成24年度入学式告辞

 桜の花が爛漫と咲き誇る頃になりました。新入生の皆さん、木更津工業高等専門学校への入学おめでとうございます。ここに専攻科生41名、準学士課程生211名、計252名をお迎えすることになりました。本校の在学生、教職員とともに、心から皆さんを歓迎します。

 また、本日ご列席の保護者やご家族の皆様には、衷心よりお慶び申し上げますとともに、お子様を本校の教育に託してくださいましたことに厚く御礼申し上げます。ご臨席の後援会役員の皆様には、日頃からのご支援に深く感謝申し上げます。

 なお、新入生の中にはマレーシアからの3名の留学生もおり、準学士課程の3年次に編入学します。

 高等専門学校は、中学校卒業後から5年間の本科(準学士課程)と、さらに2年間の専攻科から成っており、実践的、創造的な専門技術者の育成を目指して工学教育を行います。準学士課程では5年一貫の教育課程の中で、各学科ごとに一般教育と専門教育を組み合わせ、実験や実習を重視した教育を行います。専攻科ではさらに高度の専門教育を進め、大学卒業と同じ学士(工学)の学位を取得できることになります。

 木更津高専では、創立以来これまでに41期、約6100名の卒業生が世に出ており、それぞれ、産業界や地域社会で広く活躍し、日本の経済社会を支えています。このことは本校の大きな誇りとするところです。

 さて、中学校を卒業したばかりの準学士課程の新入生諸君に申し上げます。高等専門学校は、特に低学年では、高等学校とよく似た所がありますが、全体としては大学と共通の所もあり、高校と大学の両方の性格を併せ持った学校と言えます。したがって、これからの高専の生活は、今までの中学校と大きく違い、何かととまどうことが多いかもしれません。しかし諸君は柔軟な感性を持ち心身ともに急速に成長する年代であり、高専での生活は決して乗り越えられない壁ではありません。どうか一日も早くクラスの仲間と友達になり、高専生活に慣れ、元気な高専生になっていただきたい。私たち教員、職員や上級生も、全力で優しく諸君を応援します。分からないこと、不安に思うことがあったら、何でも誰かに相談してください。多少の失敗は後からいくらでも取り戻せます。何事にも前向きに挑戦していただきたい。

 なお、高等専門学校は、学校教育の中では、大学と同じ高等教育機関に位置づけられています。学校では、諸君はこれからは「生徒」ではなく「学生」と呼ばれることになります。

 本校の教育方針は、第一に「人間形成」すなわち人間としての力の育成、第二に「専門の科学技術の修得」、第三に「心身の鍛練」すなわち健康な心と体の育成、を掲げています。この教育方針のもと、学生諸君は、授業や予習復習、レポート提出などの学業に取り組んでもらいます。とともに、学校が計画する学園祭や合宿研修など様々な学校行事に参加し、さらに、スポーツや文化系の課外活動についても自分に合ったものを選んでもらいたい。男女ごとの学寮は、遠距離で自宅からの通学が困難な学生を受け入れます。こうした高専生活の様々な事について、一つ一つ説明があるので、よく聞いてください。

 高専の5年一貫という期間は、高等学校のように大学受験で中断されず伸び伸びと勉強や課外活動に取り組める半面、差し迫った課題がなく目標を見失ってしまうことも少なくありません。ですから、これからの諸君には、将来の進路や目標を意識し、持続的に勉強や課外活動に取り組むよう望みます。自宅から通学するか学寮に入るかなど、各人の状況に応じて、生活時間を自己管理して、充実した毎日を送っていただきたい。

 そして、スポーツや文化系の課外活動にも、すべての学生が可能なかぎり取り組むよう、強く望みます。日頃の活動成果を競い合う学校外の大会も、テレビ放送される高専ロボコン大会をはじめとして様々なものがあります。また、本校と外国の大学等との協定に基づき、台湾やドイツなどの海外研修に参加する機会もあります。学生がこれら様々な課外活動や国際交流活動に取り組むことは、一人一人の可能性を広げるばかりでなく、木更津高専全体を元気にすることにもつながります。

 ここで、未来の可能性に挑戦する学生諸君に、私たちが学ぶ理数系の学問やものづくりの技術が、我が国の過去からの長い伝統や先人の努力の上に立っているのだということをお話ししましょう。今年は鉄道の内房線と久留里線が開業100周年を迎えましたが、これは、技術や努力を尽くして優れたものを作れば、多くの人々に長く利用されることの一例です。さらに遡って、今から200年前、江戸時代後期ですが、私たちの郷土千葉県が誇りとする偉人、伊能忠敬が全国を歩いて測量し、正確な日本地図を作りつつあったのがその頃です。彼は佐原で商家を営んでいましたが、算術や測量学を好んで学び、隠居して50代になってから江戸に出て、自分より若い師匠に弟子入りし、暦学の学問を深めました。師弟は幕府に願い出て北海道の測量に旅立ちましたが、この背景には、関東・東北地方を測量して南北の距離を実測し、天体観測の結果と組み合わせることにより緯度1度の距離を計算し、ひいては地球の大きさを推定しようという、大きな学問上の目的があったのです。この目的は達成され、同時に作られた地図も大変優れていたことから、伊能忠敬らは幕府から日本全国を測量して地図を作ることを任され、21年間かけて今日の地図と比べても誤差の少ない正確な日本地図を完成させるという偉業を達成したのです。

 こうした先人の成功の陰には、高齢になっても旺盛な探求心や創造力、正確な測量技術、全国を歩き通した体力や持久力などがあったことでしょう。これらを今日の学生諸君も見習ってほしいと思います。諸君は、まだ若く、未来に向かって無限の可能性があります。積極果敢に挑戦してほしいと思います。

 今日から、学生、教職員が信頼と相互の理解の上に立って、保護者の方々のご支援もいただきながら、すばらしい学生生活を送ることができるよう、お互いに努力していきましょう。あらためて、皆さんの入学を在校生、教職員、関係者全員が大歓迎しているということを申し上げて、お祝いと歓迎の言葉といたします。

2012年(平成24年)4月9日
木更津工業高等専門学校長
工藤 敏夫

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