平成25年度修了証書・卒業証書授与式告辞

平成25年度修了証書・卒業証書授与式告辞

 春の訪れも間近となりました。本日、専攻科修了生42名に修了証書を、準学士課程卒業生193名に卒業証書を授与しました。卒業生の中には、7名の外国人留学生も含まれています。また、専攻科修了生には学士(工学)の学位も授与されました。修了生及び卒業生の皆さん、誠におめでとうございます。本校の教職員一同とともに、心からお祝い申し上げます。また、ご列席のご家族や関係の方々に衷心よりお慶び申し上げます。さらに、ご多忙の中ご臨席賜りましたご来賓の小田島元校長、河上前校長、元教授、同窓会、後援会の役員、Goethe-Institut東京ドイツ文化センターの各位にも、ご指導、ご支援に深く感謝申し上げます。

 木更津高専の創設以来これまでの卒業生は6200名余り、また専攻科修了生は360名余りになり、社会で幅広く活躍していますが、諸君はこれに続くことになります。

 諸君は、本校の教育方針である「人間形成」「専門の科学技術の修得」「心身の鍛練」に沿って、勉学や様々な活動に取り組んだことにより、高度専門技術者としての基礎基本をしっかりと身に付けたと考えられます。どうか、その自信と誇りを持って、産業社会を担う職業人となり、あるいはより高度の学業を究める学生となって、それぞれの場で、さらなる課題に挑戦していくよう期待します。

 諸君が在学した期間中には、東日本大震災が発生し、被災地はもとより国民一般の生活でも様々な困難がありました。また、科学技術や人間社会も大自然の威力の前では無力であることを知りました。こうした中で、諸君は、人間として、人と喜びや痛みを分かち合うことの大切さも知ったことと思います。

 諸君がこれから生きていくのは、日本と世界各国の関係がますます緊密になり、グローバル化が進展する社会です。諸君は、今後とも、英語を初めとする語学力を磨き、日本の文化を理解し世界の人々に語れるよう、研鑽を重ねることを望みます。そこで、本校のこれまでの国際交流に対する取組みを振り返りながら、これから巣立つ諸君へのはなむけの言葉を探してみたいと思います。

 本校は、台湾の国立聯合大学と2006年(平成18年)から交流を重ねてきましたが、一昨年(2012年)4月には、同大学を含む台湾5大学との交流に係る一行の本校訪問がありました。この際、国立聯合大学校長(当時)の李隆盛(りりゅうせい、Lung-Sheng Lee)先生の記念講演も行われ、本校の教職員や学生100人以上が聴講しました。卒業生・修了生の中にも覚えている人が多いのではないでしょうか。

 李先生は、理科・数学・技術・工学の教育の重要性を説き、また、聯合大学で技術や工学の教育研究を進める上で、Green and Orange Technology、略してGO Techを重視していることを話されました。green technologyは環境技術と言う意味で、自然保護や省エネルギー、地球の持続的発展に関する技術を指します。orange technologyはオレンジ色が太陽の光や暖かさを象徴することから、福祉技術と言う意味で、高齢者や障害者、子供、社会的弱者を支える技術から、全ての人を幸福にする技術までを指します。こうしたGO Techを、聯合大学では特色ある取組みとしているとのことですが、一方の木更津高専でも、Green and Orange Technologyは、特に大切にしている分野です。例えば、本校の教育では、学校外のボランティア活動に特別学修の単位認定を行っていますが、これによる里山の保護、公民館での通学合宿、地域振興活動などでの高専生の活躍は、地域社会から高く評価されており、参加した学生にとっても、環境や福祉に関する貴重な実地体験になっているのです。

 さらに言えば、諸君が学んだ科学技術や工学は、人間の力を補い社会の向上に資するためにあるものですが、そうした目的を突き詰めれば、グリーンとオレンジのため、すなわち社会や地球の持続的発展のため、人間の幸福のため、と言うことになります。ですから卒業生・修了生の諸君は、今後、専門職業人としての人生を歩む上で、自身の専門性を何のためにどう活かして行ったら良いか迷う時は、Green and Orange Technologyを思い出して、社会や地球の持続のため、人間の幸福のためになるよう、正しく判断してほしいと思います。

 本校はまた、ドイツ語教育を通じて世界と交流するパートナーシューレ(PASCH)に2008年(平成20年)から参加しています。ドイツの文豪ゲーテに『ファウスト』と言う戯曲の大作があります。これは、多くの学問を究めてもまだ知識欲求を満たせないファウスト博士が、悪魔メフィストーフェレスと契約を結び、この世で様々な快楽や悲哀を体験したり罪悪を重ねたりする物語ですが、ファウストが命を終える最後の瞬間に、魂が悪魔に奪われるのかそれとも救われるのか、と言うクライマックスがあるのです。そして、魂が救われることになり昇天する時、天使達がこう言います。「絶えず努力し励む者を、我らは救う。」こうして、ファウストは、現世での努力と天上からの救いの手により、悪魔の誘いに勝つことができたのです。

 諸君のこれからの人生は、平坦な道のほか険しい山や谷もあるでしょうが、絶えず努力を続けること、失敗にめげないこと、夢と希望を持ち続けることが大切です。そして職業生活において自己実現するとともに、幸福な家庭を築き次世代へと繋げていくなど、実りある人生を歩まれるよう、望みます。

 諸君の門出を心から祝福するとともに、諸君が元気にたくましく自身の人生を切り開き、それが日本や世界の明るい未来にも繋がることを祈念し、贈る言葉とします。

2014年(平成26年)3月20日
木更津工業高等専門学校長
工藤 敏夫

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