平成27年度入学式告辞

平成27年度入学式告辞

 満開の桜が美しい頃となりました。新入生の皆さん、木更津工業高等専門学校へようこそ。本日ここに専攻科生28名、準学士課程生 217名、計245名をお迎えいたします。栄えあるご入学大変おめでとうございます。本校の在学生、教職員とともに、心から皆さんを歓迎します。また、本日ご列席のご家族の皆様にも、心よりお慶び申し上げます。さらに本日は、お忙しい中、ご臨席の後援会役員の皆様には、日頃からのご支援深く感謝申しあげます。

 今春の新入生の中には、マレーシアから4名、インドネシアから1名、ベトナムから1名の留学生もおり、準学士課程の3年次に編入学いたします。

 本高等専門学校は、中学校卒業後から5年一貫の本科(準学士課程)と、さらに2年間の専攻科から成り、実践的、創造的かつ国際的な専門技術者の育成を目指して教育を行います。準学士課程では、一般教育と専門の工学教育を組み合わせ、理論と共に実験や実習・演習を重視した実践的な教育を行います。専攻科ではさらに高度の専門教育と研究・国際的視野の獲得を進め、学位授与機構の認定専攻科として、7年一貫教育課程の元に JABEEで保証される、大学卒業と同じ学士(工学)の学位を取得できることになります。木更津高専からは、昭和 42年の創立以来、現在の五学科と専攻科体制まで7000名に近い卒業生が世に出ており、多くの優れた人材が、日本や海外の様々な分野の産業や地域社会で広く活躍しています。これは本校の大きな誇りとするところです。

 さて、中学校を卒業したばかりの準学士課程の新入生諸君にお伝えします。高等専門学校は、低学年では、高等学校と似た所がありますが、全体としては高校と大学の両方の性格を併せ持った学校と言えます。日本の高等専門学校はカレッジとして大学と同じ高等教育機関に位置づけられており、諸君はこれから「生徒」ではなく「学生」と呼ばれることになります。

 4月より、英語、国語、歴史や法律などの一般教養と、数学、物理、化学などの自然科学や工学の基礎、さらに機械、電気、情報、建設土木など各学科の専門分野を5年かけて学びます。この5年一貫という期間は、大学受験で中断されることがなく伸び伸びと勉強や課外活動に取り組めるものですが、その半面、受験などの節目の課題がないと惰性に流される恐れもあります。ですから、皆さんには、将来の進路について考え、しっかりした目標を持ち、生活を自己管理して、悔いのない毎日を送ることを望みます。ものごとの基礎や学理を充分に勉強し理解してください。またものづくりを含む実験、実習・演習などにも積極的に取り組んで、互いに質問し教えあうことも学んでください。一般的な高校教育では受験勉強など答えのある問題に取り組むことが主体となるのですが、本校では、高専(カレッジ)の「学生」として、決まった答えのない問題に取り組むこともあり、持てる力の総てを用いて自ら様々な方法で解決の道を探る必要があります。

 このような高専の学生生活は、1人1人にとって、今までの中学校と大きく異なり、何かととまどうこともあるでしょう。諸君が木更津で学ぶ期間は、自ら求め考え、行動し、責任を持つ「大人」へと成長する、人間形成の極めて重要な時期であります。時には大きな挫折や悩みを経験することもあると思います。しかし、諸君は試験に合格し本校に在籍することを認められた、選抜された立場であることを自覚し、他の人の意見を良く聞き、それぞれ努力精進して、たくましく壁を乗り越え前途を切り開いて欲しいと思います。

 特に、学寮に入った皆さんは、親元を離れ生活面の変化も大きいことでしょう。皆さんの入学後、卒業までの期間は、柔軟な感性を持ち心身ともに急速に成長する時です。どうか1日も早く共同生活・学校生活に慣れ、学校や寮、あるいはクラスの仲間と友達になってください。私たち教員、職員や本校の上級生も、全力で優しく皆さんを応援します。分からないこと、不安に思うことがあったら、何でも私たちに相談してください。自分1人で考え込まず、ほかの人に相談し相談されることは人生の必需品です。多少の失敗は後からいくらでも取り戻せます。何事にも前向きに挑戦してください。

 木更津高専の教育方針は、第一に「人間形成」すなわち人間としての力の育成、第二に「専門の科学技術の修得」、第三に「心身の鍛練」すなわち健康な心と体の育成の3つの柱から成っています。この教育方針のもと、学生諸君は、日々の授業や予習復習、実験やレポート提出などの学業に励んでいただきます。また同時に、学園祭や体育祭、合宿研修など様々な学校行事に参加し、チームワークの重要性なども学んで下さい。そして同時に、スポーツや文化系の課外活動にも、積極的に取り組んで欲しいと思います。こうした課外活動の成果を競い合う学校外の大会として、高専体育大会や、テレビ放送される高専ロボコンなど様々なものがあります。また、本校と外国の大学等との協定に基づき、台湾やドイツ、マレーシアなどの海外研修に参加する機会もあります。学生諸君がこれら様々な課外活動や国際交流活動に取り組むことは、1人1人の可能性を広げるばかりでなく、学校全体を力強くすることにもなります。

 現代の科学技術は国境をやすやすと越えます。例えば、皆さんが使っている携帯やスマホのハードやソフトは日本と外国の国境を越えて行き来したものから作られています。現代生活を支える工学技術を志すとき、入学した諸君の世界は、家族や友人、学校などの日本語を基盤とする身近な日常から、英語を共通に用いあう国際的な技術科学の世界へ急速に広がります。工学の基礎を勉強するとともに、どうかひるむことなく楽しんで英語の世界に飛び込み、グローバルな環境で多くの人々と繋がり協力や競争をすることも経験してください。

 入学に際し、1つ皆さんにお願いしたいことがあります。それは、皆さんの学生生活において、デジタルの世界・ITの世界とアナログの世界・現実の世界とのバランスを上手に取って下さいと言うことです。スマホ等で経験するデジタルの仮想世界と、日常の現実世界を正しく峻別し、時間的にも意識的にも調和をとって下さい。それにはまず普通の本を沢山読むことであります。若山牧水研究の第一人者で歌人の伊藤一彦氏の今年3月の歌に、「本をひらく自分をひらく明日をひらく本屋の帰路のベンチの上で」という和歌があります。本校の図書館を大いに利用し、様々な書籍に親しんで下さい。また、「我が人生の師となる本に出会った」とか「師となる人との出会い」と言う言葉はありますが、 「Twitterやスマホ上で師となる人や文章に出会った」は残念ながらまだ一般的ではないようですし、インターネット上での会話と言葉が相手に与える影響の評価すら科学的に実証解明されていません。ITの世界は未だ発展途上でまさに玉石混淆であることを常に心にとどめて下さい。

 新入生諸君、今日から、良き友人を数多く作り、素晴らしい学生生活を築き、高専時代を人生における光り輝く1ページとして下さい。あらためて、皆さんの入学を一同で歓迎して、お祝いの言葉といたします。

2015年(平成27年)4月6日
木更津工業高等専門学校長
前野 一夫

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