平成22年度修了証書・卒業証書授与式告辞

平成22年度修了証書・卒業証書授与式告辞

修了証書・卒業証書授与式が中止されたため、3月18日から25日の間、修了証書・卒業証書の交付を行い、告辞のコピーを配布した。

日差しに日一日と強さが加わり、春の訪れも近いと感じられるようになりました。本日、卒業と専攻科終了を迎えた皆さん、誠におめでとうございます。修了証書又は卒業証書を授与された専攻科修了生33名並びに卒業生194名の諸君に、本校の教職員一同とともに心からお祝い申し上げます。 また、ご家族や関係の方々に衷心よりお喜び申し上げますとともに、日頃からの本校へのご支援に厚くお礼申し上げます。 さらに、ご祝意を賜りました河上前校長先生、元教授の方々、同窓会、後援会の役員の各位にも、ご指導、ご支援に深く感謝申し上げます。

木更津高専は1967年に創設され、1990年に5学科の体制となり、今日まで実践的技術者の養成という使命を果たすべく努めてまいりました。今日までの卒業生約5700人は社会の第一線で幅広く活躍するに至っています。

今、修了生・卒業生諸君が在学した期間中の主な出来事を振り返りますと、本校では、2006年5月に日本技術者教育認定機構(JABEE)から「生産システム工学」教育プログラムの認定を受け、2007年度からは第2学年の混合学級が始まりました。また、総合教育棟は2003年から新築、供用されていましたが、2009年には実験実習センターの改修も成りました。
さらに、新型インフルエンザの流行が学校活動に大きな影響をもたらしたのも記憶に新しいところです。

他方、社会へ目を転じますと、情報通信技術が目覚ましく発達し人々の生活の隅々にまで普及する一方で、異常気象、経済危機や民族紛争、大地震、動物の感染症などの人為的事象、自然災害が相次ぎ、世界は大きく揺らいでいます。
20世紀後半から21世紀にかけての学術・技術の進歩は人類に多くの恩恵をもたらすと同時に、新たな地球規模の課題を生んでいます。
また、ここ数年の世界的不況と我が国経済の立ち直りの遅れから、新規学卒者の雇用状況も大変厳しいものがあります。さらに、アジア諸国の目覚ましい経済発展を軸とするグローバル化の波は、職業や日常生活の場にも押し寄せてきます。

こうした中で、諸君は、新規の職業人として、又はより高度の勉学を究める学徒として、学校から巣立とうとしています。
職業又は学業のそれぞれの場で、諸君はこれからは自立した社会人として、存分に活躍することを期待します。 その際、高専出身者としての自信と誇りを持ち続けることを、強くお願いしたい。

高等専門学校は、優れた技術者を必要とする産業界の要請を受けて創設されたものです。 高等専門学校の全体の規模は中学校卒業者の1%以下を受け入れているに過ぎませんが、産業界の工学系新卒技術者の中では、高専出身者は10%以上を占めていると見られ、決して小さい存在ではありません。
その上、多くの企業で高専出身の技術者の専門知識・能力が高く評価されています。

木更津高専の「人間形成」「専門の科学技術の修得」「心身の鍛練」の教育方針の下、諸君は一般教育と専門の勉学はもちろん、様々な学校行事や課外活動に一生懸命取り組みました。
その中で、充実した楽しいことや、辛く苦しいことなど、様々な経験をし、また学友の仲間とも友好を深めたことでしょう。
そうした高専での生活が諸君を大きく成長させ、また社会から高専生に期待される能力を、確かなものとして身に付けたことと思います。
このようなことが、諸君の自信と誇りに繋がることを信じます。

今日、木更津高専の卒業生を始め多くの高専出身者が社会の様々な分野で活躍しています。
これらの先輩に続き、修了生・卒業生諸君も、自らの人生を切り開いていくよう期待します。 その際、前途は平坦な道ばかりでなく険しい山や谷もあるでしょうが、どんな時も、苦労をいとわず失敗にめげず果敢に挑戦すること、そして夢と希望を持ち続けることが大事だと、申し上げておきたい。

諸君が身に付けた優れた知識・技能も、確かな人間力がなければ正しく発揮することはできません。
人間力とは、大人の人間が持つべき能力であり、自主的に決断する判断力、工夫し新しいものを作り出す創造力、決めたことを行う実行力、この3つです。
これが、本校の教育方針「人間形成」の意味であり、諸君はこの人間力の基礎基本を身に付けた訳ですから、これからの人生において、それにさらに磨きをかけていただきたい。

3月11日に、東北関東大震災が起こりました。世界最大級の地震と巨大津波は想像を絶する被害をもたらし、またそれに伴う原子力発電所の深刻な事態は人類が未経験のものです。
今回の災害の犠牲者に哀悼の意を表しますとともに、多くの被災者が今なお苦しんでいることに対して直接に何もしてあげられない無力感にとらわれます。 一方、被災地以外の地域でも生活に種々の影響が広がる中、本校は幸いに教職員・学生に被害はなく、3月18日の卒業式を迎えることになりました。
卒業生・修了生を祝福し社会に送り出すことは、学校にとって最も大事な行事です。
しかし現在の交通機関の状況などから、多くの学生と保護者が千葉県内各地から安全に集まっていただくことは困難と判断し、中止することにしました。
学生はもとより多くの関係者がこの日を楽しみにしておられたことを考えると、無念であり申し訳なく思います。 卒業生・修了生諸君は悔しい思いをしたと思いますが、多くの被災者の苦しみに思いを致してください。 直接には何もしてあげられなくても、自分たちが今やるべきことを全力でやるしかないのではないでしょうか。
日本は国民一人一人の力を合わせてこの危機的な状態と向き合い、いつの日か復旧と復興を果たさなければなりません。 この困難な状況の中で卒業・専攻科修了をする諸君は、そのような気持ちを共有して、社会へと巣立っていただきたい。

諸君の門出を心から祝福するとともに、諸君の前途が洋々と展開し、それが我が国や世界の明るい未来にも繋がることを祈念し、お祝いの言葉とします。

2011年(平成23年)3月18日
木更津工業高等専門学校長
工藤 敏夫

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