大枝研究室

研究室の概要

私の研究目標は,自律的に環境に適応し,新しい問題状況に対応する知的機能・ 能力を有するシステムを構築することです.この研究目標を達成するために,自 然界のシステムに内在するダイナミクスをモデルとして柔軟な情報処理の可能性 を模索する研究を行ってきました.

なぜならば,生物は実世界という動的でかつ予測不能な挙動を示す環境に対して 極めて柔軟に対応しており,自然界の生物あるいはその集団の仕組みから学ぶこ とは多いと考えられるからです.

現在に至るまでに,ニューラルネットワーク,遺伝的アルゴリズム,ファジィ, 強化学習,人工生命など,計算知能(Computational Intelligence)あるいはソ フト・コンピューティングと総称される枠組を用いた知的コンピュータシステム の開発に取り組んできました.

最終的な目標は,生物と同様に,自律的に学習し進化するコンピュータシステム の開発です.

研究内容・テーマ

ニューラルネットワーク

我々人間は脳という器官を保持している.脳は膨大な数のニューロンが結合し た大規模なシステムである.このニューロンを構成素子とする回路網により情報 処理を行うものがニューラルネットワークである.本研究室では,ニューラルネッ トワークの基礎を学び,実際にデータ分類を行う.このとき学習対象となるデー タに矛盾を含む教師信号がある場合においても学習が可能な手法について研究・ 考察する.

遺伝的アルゴリズム

最適化手法の一つである遺伝的アルゴリズム(GA)は,生物の進化を模倣して おり,さまざまな最適化問題に適用されてきた.GAの基本的な枠組は与えられた 最適化問題の評価関数に対し,いくつかの乱数と単純な記号処理を用いるだけで, 比較的少ない計算量で準最適解を効率よく求解できる.本研究室では,GAを施設 配置問題に適用し,最適解を求解することを試みる.

マルチエージェントシステム

マルチエージェントシステムとは,自律して動作する多数のエージェントが互 いに協調動作を行うことにより,エージェント群全体として機能的な処理を行う システムのことである.本研究室では,ロボコードを利用する.ロボコードとは, Javaで開発されたロボット戦闘シミュレータであり,ロボット(戦車)の動作プ ログラムをコーディングし,敵ロボットと自律的に戦わせるものである.本研究 室では,これら複数の味方ロボットをエージェント群としてとらえ,協調動作の 構築・獲得を実現する方法を考案する.

集団学習(アンサンブル学習)

精度の低いルールや学習機械を多数組み合わせることにより精度の高い予測や 分類を行おうとすることは一般に集団学習(Ensemble Learning)と呼ばれる. 集団学習では複雑で大規模な学習モデルを用いるのではなく,比較的単純な学習 モデルと計算量が妥当な学習則を複数用いることで実現する.本研究室では集団 学習を用いたデータ分類を行う.

SVM(Support Vector Machine)

データが与えられ,それを学習させて予測や分類といった目的に用いる際,もっ とも単純な学習モデルとして最小二乗法などのような線形モデルがある,しかし, 対象が複雑になると分類が困難になる.そこで近年注目されているSVM を用いた 分類手法の研究を行う.本研究室ではSVMを用いたデータ処理に関する基礎的な 課題に取り組む.

ネットワーク・インバージョン

BP法を用いて学習を行ったニューラルネットワークに対して,任意信号を入力 すると所望の出力信号を得ることができる.このような入力から出力を得る順方 向の問題の他に,実際の応用分野では,ある出力を得るためにはどのような入力 を加えたらよいかという,いわゆる逆問題を解きたい場合が少なくない.本研究 室では,ネットワーク・インバージョンを用いた逆問題解決手法の提案を行う.

CNN(Cellular Neural Network)

CNNは,相互結合型ニューラルネットワークの一種であるが,セルと呼ばれる 基本素子が格子状に配置されている点や,各セルが近傍のセルとのみ結合を有し ている点で他のモデルと区別される.本研究室ではCNNを用いたデータ修復手法 の研究を行う.例えば,劣化した文字画像からの復元を行う連想記憶を実現を考 えている.

その他

知能システムに関するものであれば,ファジィ,CAI,ベイジアンネットワー ク,能動学習なども研究しています.

教員から一言

15〜25歳の10年間を,どのように過ごすのかで残りの人生が決まってしまうと言っ ても,過言ではないでしょう.
その大切な時間の中で,私と一緒に研究をしてみませんか?
世界の将来を担う,あなたを待っています!

過去の卒業研究のタイトル

平成17年度

平成16年度


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質問、意見などはこちらまで: oeda@j.kisarazu.ac.jp