6月2日,本校にて「高専キャリアラボ」第4回講演を開催しました。今回ご登壇いただいたのは,C-Style株式会社の弓削隼大(ゆげ はやと)氏です。
「高専時代にやってよかった〇〇」というテーマのもと,弓削氏はご自身の経験をもとに,学生時代に取り組んでよかったことを5つの切り口で紹介してくださいました。話題はどれも突飛なものではなく,社会人になってから誰にとっても役立ち,すぐに実践できる内容となっていて,学生にとって非常に現実的で,かつ背中を押してくれるような講演となりました。
弓削氏は,「やりたい!」「面白そう!」という気持ちに正直に進んできたと語ります。プログラミングコンテスト(プロコン)への参加を目指して鳥羽商船高専に入学し,その後,暗号学に興味を抱いたことをきっかけに茨城高専へ転校。本格的なキャリアの始まりです。自分の興味に素直に行動してきた姿勢が,そのまま現在の活躍につながっていることが印象的でした。講演では「多様」と「ファクトベースでの仕事」という2つのキーワードが,特に強く印象に残りました。「多様」については,先輩・友人・教員など幅広い人間関係を築いたこと,技術だけでなく倫理・歴史・文化といった分野にも関心を持ち学んだこと,さらにアルバイト経験を通して“現場で考え動く力”を養ったことなどを紹介いただきました。人との関わりや視野の広さが,表現力や適応力につながっていることを実感させられました。
また,「ファクトベースでの仕事」では,物事を感情や印象で判断するのではなく,事実を丁寧に整理し,その上で結論を導き出すことの大切さが語られました。これはまさに,高専の卒業研究や実験・実習を通じて身につける力であり,学生たちにとって大きな励みとなったのではないでしょうか。質疑応答の時間には,AIとの付き合い方,環境の変化に対する心構え,他者との関係の築き方など,講演内容をふまえつつも,それぞれの学生が今抱えている悩みに直結するような質問が寄せられました。弓削氏は一つひとつの問いに丁寧に耳を傾け,自らの経験を交えて真摯に答えていただきました。
「高専キャリアラボ」は,本校の特別学修の一環として実施しているプログラムです。これからの進路や働き方について考えるきっかけとして,今後も多様なゲストをお迎えし,学生にとって実りある時間を提供してまいります。関心のある方は,ぜひ次回もご参加ください。