キャリア支援室のお知らせ

2025/06/23 高専キャリアラボ 第6回

 第6回「高専キャリアラボ」開催レポート(2025年6月23日)
 ――社会とつながる技術職,そして“自分を知る”ということ

 6月23日,本校にて「高専キャリアラボ」第6回講演が開催されました.今回は,八千代エンジニヤリング株式会社からお二人の技術者,山本浩樹氏(機電部プロフェッショナル)と新谷哲史氏(技術第一課シニアアソシエイト)をお招きし,双方向形式のセッション型講演として実施しました.
 テーマは,「技術職としてのはじめの3年」「社会課題と自分の仕事がつながった瞬間」「はじめてチームを任された話」など,多くの高専生がこれから経験するであろうキャリア初期のリアルなエピソード.今回はあらかじめ10個の質問を用意しつつ,当日の学生からの質問にも随時応じるスタイルで進行し,従来の講演とは異なる“つくりあげる講演”として大いに盛り上がりました.
 学生からは,「海外出張ではどんなことに苦労したか」「現地の方とどうコミュニケーションをとっているか」といった実務に直結する質問が続き,また「学校の学びが現場でどう活かされるのか」といった問いには,「実務でよく使うのは中学数学,背景を理解するには高専での理屈」との回答.さらに意外な話として「国語力が非常に重要」という視点も.顧客とのヒアリングでは,言葉で伝える力や相手の意図を読み取る力が成果に直結することが語られ,文理を問わず“言語化力”の大切さが浮き彫りになりました.また,「社会人になる心構えは?」との問いには,「自分の取扱説明書をつくること=自己分析の徹底」が必要だとアドバイス.自分の強み・弱みを言語化することで,他者との協働もうまく進められるという具体的な話に,学生たちは真剣に耳を傾けていました.「コミュニケーションが苦手」と語る学生の不安にも,「話すより観察する力が大切.周囲をよく見ていれば自然と関係は築ける」という言葉で応じてくださり,学生にとって背中を押してもらえるようなやり取りが続きました.
 そして,会の終盤には印象的なやり取りが生まれました.「都市(まち)と自然の境界で働くことの責任感とは?」という質問に対し,それぞれの立場から真摯に語ってくださいました.インフラ整備や地域開発に携わるなかで,自然環境を守りながら人の暮らしを支えるという役割に,あらためて向き合うきっかけとなったといいます.これは,講師のお二人にとっても立ち止まり,初心を思い出す瞬間となったようです.学生からの素直な問いが,講師の心に響いた印象的な場面でした.また,「なぜ建設コンサルタントという職を選んだのか?」という質問には,「知名度やメジャー感ではなく,自分自身の判断軸を持つことが大切」と強調.どんな職業かではなく,“そこで自分がどう生きるか”が問われるという姿勢に,学生たちも大きな学びを得た様子でした.「私たちは誰かの面倒のおかげで暮らしている」という一言は,社会の中で支え合いながら生きているという意識をあらためて思い起こさせてくれるものでした.チームで働くことの本質,そして互いを尊重する姿勢が,言葉を超えて心に届いた時間だったのではないでしょうか.
 「高専キャリアラボ」は,学生の進路形成を支援する特別学修として実施しています.現場で活躍する技術者の言葉に耳を傾け,自分自身の未来と向き合うきっかけとなるこの機会.興味を持たれた方は,ぜひ次回のご参加をお待ちしています.


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