■ 講演概要
キャリアラボ第17回では,株式会社ジュピターコーポレーションに在籍する本校 電子制御工学科 卒業生の 大橋 様 をお招きし,ご講演をいただきました.
■ 自己紹介と高専時代の話
講演の冒頭では,企業紹介に先立ち,大橋様ご自身の紹介からお話しいただきました.
高専時代は寮生活を送りながら学業に取り組まれていたこと,また乗り物や歴史,旅行が好きで,在学中から幅広い分野に興味を持って過ごされていたことが紹介されました.こうした関心の広さが,その後の進路や仕事の選択にもつながっているように感じられる自己紹介でした.
■ 企業紹介とキャリアの全体像
続いて,航空・防衛・宇宙分野に関わる同社の事業内容について紹介があり,その後,入社後3年間の技術職としての業務や,アメリカ出向(準備期間を含め約5年間)での経験について,具体的なエピソードを交えながらお話しいただきました.
■ 入社1年目:仕事の流れをつかむ
大橋様は電気設計職としてキャリアをスタートされ,1年目は「仕事がどのような流れで進んでいるのかを知ること」を意識して業務に取り組まれていたそうです.業務の一部だけを見るのではなく,工程全体を把握する姿勢が,その後の業務理解につながっていったのではないかと感じました.結果として,回路設計の基礎や2D-CADによる設計作業にも,スムーズに取り組めるようになったというお話が印象に残りました.
■ 入社2年目:ISS関連のシステム設計と開発
2年目からは,国際宇宙ステーション(ISS)向け実験機器のシステム設計に携わり,回路設計に加えて,C言語を用いたシステム開発にも取り組まれたそうです.部品一つひとつにかかるコストについての話では,民生グレードから産業グレード,さらに高信頼性グレードへと求められる品質水準が大きく変わることが紹介され,「宇宙」という分野ならではの厳しい要求を実感できる内容でした.
■ 協力して成果をつくる現場
また,実験機器は自社だけで完結するのではなく,他社と協力しながら,それぞれの得意分野を生かして一つの成果を作り上げていくことの大切さについても語られました.こうしたお話からは,技術者としての責任の大きさや,国のプロジェクトに関わる仕事ならではの重みを感じました.
■ 学生時代の学びが活きた瞬間
ここでは,高専時代に取り組んだ放射線に関する研究が,実際の業務の中で役立ったというエピソードも紹介されました.現在は一般科目として扱われている内容ですが,当時の特別研究での学びが活きたというお話からは,在学中にさまざまなことに興味を持って学んでおくことの大切さが強く伝わってきました.
■ 海外出向準備:英語との向き合い方
4年目からは,翌年のアメリカ出向に向けた準備期間のお話が中心となりました.英語に苦手意識があったという大橋様ですが,出向という機会を前向きに捉え,朝と夜の学習時間,週末のまとまった時間を活用しながら,計画的に英語学習に取り組まれたそうです.中でもラジオ講座教材は,特におすすめの教材として紹介されていました.在学中から学習を継続した結果,TOEICスコアを大きく伸ばしたというエピソードは,学生にとって現実的な目標として印象に残るものでした.
■ アメリカでの勤務:仕事と文化,生活への適応
アメリカ出向中は品質職のマネージャーとして業務にあたり,日本とアメリカのマニュアルの違いについて紹介がありました.アメリカでは文字情報だけでなく,写真や図を多用した分かりやすい資料が重視されているそうで,技術の伝え方について考えさせられる内容でした.
また,アメリカは車社会であるため,現地生活に適応するために早い段階で運転免許を取得したというエピソードも紹介されました.日本のような教習車ではなく,自身の車で検定を受ける仕組みであったそうです.社用車で検定を受けた際には,後部に窓のない車両だったことから,教官に「このような車で検定を受ける人は初めてだ」と驚かれ,そのことをきっかけに会話が弾んだという印象的なお話もありました.
■ 転機:より大きな責任を担う立場へ
出向2年目には,上司の急な退職をきっかけに,より大きな責任を担う立場となり,会社全体を見渡す役割を任されることになったそうです.淡々と語られていましたが,その言葉の端々から,強い責任感のもとで業務に向き合ってきたことが伝わってきました.帰国が決まった際に感じた「達成感と少しの寂しさ」という言葉は,やり切った人だからこそ語れる実感のこもったものでした.
■ 質疑応答と個別対応:後輩へのメッセージ
講演中の質疑応答では,学生一人ひとりの質問に対し,落ち着いた口調で言葉を選びながら丁寧にアドバイスをいただきました.また,講演後には個別の相談にも対応していただき,後輩に寄り添う姿勢が印象的でした.
■ キャリアラボのこれから
今回でキャリアラボは17回目の講演を終えました.キャリアラボは特別学修として実施していますが,単位のことはいったん忘れて,「さまざまな環境で働く先輩の話を聞く」というだけでも,多くの学びがあります.
年内の講演は終了しましたが,残り3回を予定しています.放課後の忙しい時期ではありますが,いつもとは少し違う学びの場として,正解のない「キャリア」について考えてみてはいかがでしょうか.