令和5年度木更津高専卒業式・修了式告辞

 卒業生・修了生の皆さん、卒業・修了おめでとう。この日を待ち望んでこられた保護者の皆様、心からお祝いを申し上げます。また、本校の教育にご支援いただいている関係の皆様にお礼を申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症が第5類に移り、今年度はほぼコロナ禍前の学校生活が戻ってきました。卒業生・修了生の皆さんは、入学以来多くの期間をコロナ禍で過ごし、制限された高専生活を強いられました。それでも、今年度、祇園祭はじめ学校行事を通常の形で行うことできました。そして、多くの困難を乗り越え、卒業・修了の日を迎えることができました。皆さんの努力を称えたいと思います。
 木更津高専は、早期技術者教育、専門教育を特長とする高等教育機関です。本科卒業生の皆さんは、一般・専門科目を学び、学習の総まとめとして卒業研究に取り組みました。専攻科修了生の皆さんは、本科5年の学習に加え、更に2年間学習を積み重ね、卒研も含めれば3年間の継続的な研究活動を行いました。研究の成果を学会で発表した人も多いでしょう。10代後半からの若い時期に専門的な勉学を思いっきりできたことで、皆さんは大きく成長したと私は確信しています。
 高専生は身体が動く、手足が動くとよく言われます。行動力があるという意味だと私は思います。すぐ行動に移すというだけでなく、走りながら考える理論も高専生は身につけていると私は考えています。これは皆さんの大きな特長です。新しい技術を生み出すこと、新しい会社をつくること、高専生の活躍が求められています。
 世界に目を向けますと、ロシアによるウクライナ侵攻、イスラエル・ハマスの戦争など、地域紛争とそれに起因する混乱が世界の各地にあります。ようやく新型コロナ禍が収束に向かう中、元旦に能登半島地震が起きました。自然災害、感染症、食糧危機、エネルギー危機等、多くの問題が人類の生活を脅かしています。そして、これらの問題解決にも科学技術の進歩が欠かせません。2015年に国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に掲げられた「持続可能な開発目標(SDGs)」として、2030年までに達成すべき17の具体的目標が示されています。また、 ICTの分野では、OpenAIのChat GPTなど生成AI(大規模言語モデル)が注目を集めており、人とAIとの共生社会の形が議論されています。私達の目の前には多くの課題もありますが、多くの可能性もあります。
 社会では,これから皆さんの活躍が期待されています。皆さんは木更津高専で学んできたことを社会の発展に役立てたいと強く思っているでしょう。それは、木更津高専で一緒に学んだ仲間や学校生活を支えてくれた家族や周りの人々の思いと重なると思います。人々と共にあることが、困難な課題に取り組む時の糧になると私は考えています。
 卒業生の皆さんは、授業を通じて学んだ知識や技術、部活動等の体験をバネに、修了生の皆さんは、専攻科で身に着けた高度な知識、研究活動の体験を土台に、次の一歩を踏み出して下さい。皆さんには活躍できる舞台が待っています。大きな飛躍のチャンスもあります。社会をより良くしていくことが皆さんの夢でしょう。皆さんには未来を切り開く力があると私は確信しています。
 私自身,この3月末をもって40年の高専教員生活を終えることになりました。そういう意味で,木更津高専における今回の卒業式・修了式を迎えてことには特別な思いがあります。
 本日皆さんを送り出すことは、本校の誇りであり、歓びです。
 卒業生・修了生のこれからの活躍を期待しています。

令和6年3月19日
木更津工業高等専門学校 校長 山﨑 誠