2024年12月に開催された「第3回 高専GIRLS SDGs×Technology Contest(高専GCON2024)」において,木更津工業高等専門学校の学生チーム「チャリンコ倶楽部」が村田製作所賞を受賞し,その副賞として,株式会社村田製作所の本社および長岡事業所,野洲事業所への見学会にご招待いただきました。見学会は2025年3月11日(火)から12日(水)にかけて1泊2日で実施され,環境都市工学科5年の学生3名と佐久間東陽助教が参加しました。
初日は京都府長岡京市にある村田製作所本社および長岡事業所を訪問し,同社のSDGsに関する取り組み紹介や,センサ製品のデモ機の体験がありました。イノベーションミュージアムでの展示見学を通じて,村田製作所の歴史や製造している電子部品について学びました。また,企業敷地内では,長年にわたり緑化活動に取り組まれており,四季折々の花が咲くように配慮されているなど,日本のグローバル企業としての環境そして景観への高い意識が随所に感じられました。持続可能な社会の実現に向けた企業の実際の取り組みに,学生たちは深い関心を寄せていました。
2日目は,野洲事業所にて生産設備や排水処理施設など,最新技術が集約された製造現場を見学しました。中でも,排水処理施設の見学は特に印象的で,授業や実習では主に生活排水の処理を対象に学んできた学生たちにとって,実際に工場排水が処理される現場を間近で見ることは非常に貴重な経験となりました。処理された排水は最終的には琵琶湖へと流れ,多くの人々の生活用水となることから,徹底された管理体制と高い水準での浄化に企業としての環境への責任ある対応を実際に見ることができました。
見学の合間には,高専GCON2024における受賞テーマ「衛星データを活用した潜在的『魚のゆりかご水田』分布把握手法の開発」について発表を行い,村田製作所で活躍されている女性技術者の皆様からフィードバックをいただきました。また,生産設備の紹介の際には,目視では見えない微小な電子部品をセンシング技術により正確に検査し,高品質な製品を出荷されていることに学生たちは驚いていました。働く女性技術者の方々が,自らの仕事に誇りとやりがいを持ち,いきいきと語る姿は,参加した学生たちにとって将来のキャリアを考える上で大きな刺激となりました。
2日目の午後には,高専GCON2024の研究活動において多大なるご支援をいただいた国立環境研究所琵琶湖分室の矢橋帰帆島ベース(淡海環境プラザ内)を訪問し,受賞のご報告を行いました。受賞報告会には,滋賀県庁の高等教育振興課および農村振興課の職員の方々にもご参加いただき,研究テーマに関する成果報告と意見交換が行われました。
報告会後は,馬渕分室長のご案内により,国立環境研究所琵琶湖分室の研究施設のひとつである矢橋帰帆島ベースの見学をさせていただきました。また,滋賀県庁高等教育振興課の職員の方々からは,これまでの高専GCON2024の取り組みや高専での学生生活に関するインタビューが行われました。
今回の見学会と報告会は,卒業式を目前に控えた学生たちにとって,木更津高専生として最後の貴重な課外活動となりました。現場でしか得られない学びや,第一線で活躍する技術者との交流,そして企業や研究機関,行政の方々との交流は,参加した学生一人ひとりにとってかけがえのない経験となったことと思います。今後は,この経験を糧に,それぞれの進路での一層の活躍が期待されます。
今回の貴重な機会をご提供いただいた株式会社村田製作所様,ならびに国立環境研究所琵琶湖分室,滋賀県庁の皆様に,心より感謝申し上げます。
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